交通事故に遭ってしまった場合、加害者から和解金はもらえる?

交通事故に遭ってしまった場合は弁護士などの力を借りていろいろなことを処理しなければなりません。その中の一つに加害者との和解交渉があります。和解交渉は被害者、加害者ともに重要な話し合いであり、被害者にとっては自分に和解金がどれぐらい支払われるのかが決まりますし、加害者にとっては和解できるかどうかで起訴されるか、不起訴になるか、あるいは執行猶予がつくかといったことが決まってきます。

まず和解交渉で責任の割合などを決める

交通事故での和解交渉では基本的に責任の割合を決めることになります。たとえば、制限速度を守って走っていた車の前にいきなり子供が飛び出してきて轢いてしまったという事故と、信号に従って横断歩道を渡っていた歩行者を、信号無視の車が轢いたという事故を比較した場合、被害者と加害者の責任の割合はまったく違ってきます。

交通事故が起きた事故の原因すべてを10割として、被害者に1割の責任、加害者に9割の責任があるのか、それとも被害者に4割、加害者に6割なのかといったことを決めて、その割合に基づいて保険会社が和解金の支払い額を決定し、被害者に振り込むのです。

被害者と加害者の双方が代理人を立てるケースが多い

交通事故の和解交渉ですが、被害者と加害者が直接対峙して話し合うということはまずありません。お互いに感情的になり、冷静な話し合いにならない可能性が高いからです。そのため、被害者と加害者が両方弁護士を代理人にすることが一般的です。

事故の当事者ではない弁護士同士が話し合って、どちらに事故の責任があるのかといったことを正しく決められるのかと疑問を持つ人もいるかもしれませんが、当然、事故現場での検証が行われます。加害者側の弁護士が「こちらの責任は5割程度しかない」といってきたとしても、被害者側の弁護士が検証を行い、実は加害者の方に相当な責任があったという証拠を見つけ、割合としては被害者が2割、加害者が8割程度と主張すれば、最終的にそれで折り合うこともあるのです。

客観的なきちんとした証拠を提示できれば、話し合いが決裂することは少ないでしょう。

和解交渉が決裂してしまったら?

もちろん、和解交渉が決裂してしまうこともあります。ドライブレコーダーの映像や目撃者が存在せず、被害者、もしくは加害者のどちらか、あるいは両方とも事故で亡くなっていて、事故の内容を証言できる人がいない場合は決裂の可能性が高くなるでしょう。

和解できなかった場合は加害者が不起訴処分を受けられず、裁判に持ち込まれる確率が上がります。被害者が重傷を負ったり、亡くなった場合は被害者遺族の処罰感情が強くなり、和解できないとなるとほぼ間違いなく裁判になるでしょう。

裁判になれば一番大変なのは加害者側ですが、被害者側も苦労することになります。というのは、裁判が終わるまで加害者がお金を払わない可能性があるからです。もし事故の内容が複雑で被害者と加害者、どちらにどれぐらい事故の原因があるのか客観的な判断が難しいということであれば、交通事故の裁判であっても最高裁まで争われて長期化するかもしれません。

交渉がまとまれば和解金の支払いは迅速に行われる

事故の内容が非常に簡単なもので、責任の割合も交渉ですぐに決まったという場合はどうなるのでしょうか。この場合、被害者と加害者が和解をしてから数日から数週間程度で被害者にお金が振り込まれるでしょう。基本的に保険会社からのお金の支払いはかなり迅速であり、それほど待つことはありません。

加害者側の弁護士が、「加害者に対して刑務所に入ってほしいと思うほどの処罰感情はない」といったことを書いてくれないかといってくることもあります。それを検察官に提出することで、不起訴処分にしてもらうことを狙っているのです。

もし、被害者がけがで済んでおり、和解金の支払いも済んでいて、さらに被害者から処罰感情なしという言葉があるなら不起訴になる可能性は高いです。

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加害者が保険に加入していなかったら

事故の加害者が保険に加入しておらず、金銭的な財産も一切ないという場合はどうなるのでしょうか。こういうケースでは当然、被害者に対して和解金を支払うのは厳しいでしょう。加害者の親が家などを処分して払ったり、あるいは親戚や友人が立て替えるといったケースもあるかもしれませんが、可能性としてはそれほど高くありません。

したがって、もし交通事故に遭って、事故の相手が無職で保険に未加入の場合は和解金をもらえるという考えはとりあえず捨てて、事故後の生活に対処した方がいいでしょう。

ただ、加害者によっては裁判において、「刑務所を出たらきちんと働いて被害者に賠償したい」といってくるかもしれませんし、実際、言葉通りに賠償金を払い続けている加害者も存在します。

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民事裁判で賠償金を請求する

加害者が自分に対してお金を一銭も払わないというのは到底納得できないという場合は、民事裁判を起こすという方法があります。刑事裁判で決められるのは、あくまでも被告人が有罪か無罪か、有罪だとしたらどのような刑かということであり、「あなたは有罪だから被害者にお金を払いなさい」といった風に賠償金額が決められることはありません。

したがって、刑事裁判とは別に民事裁判を起こし、加害者に対して「いくら払ってほしい」と被害者自ら請求する必要があるのです。

事故の加害者は被害者に賠償金を支払う必要ありと裁判官に認められれば、相応のお金を払うようにという判決が下されるでしょう。ただ、請求額次第ですが満額の支払いが認められることは少ないです。裁判官が、事故の原因は被害者側にもかなりあると考えた場合は請求額の半分以下になることもあり得るでしょう。

お金を払わない加害者に対しては差し押さえで対抗しよう

民事裁判で賠償金を支払うようにという判決が出ても安心はできません。というのは、自動車を運転しているのに保険に入っていないような人は、民事裁判で賠償金を支払うようにという判決を受けても、それさえ無視するというケースが多いからです。

さらに賠償金を払えという判決を無視してもこれといった罰則はないので、そのことを知っている加害者はあえて払わないことも少なくありません。こういう場合はどうすればいいのかというと、差し押さえをするのが一番いい方法でしょう。

差し押さえの対象は銀行口座や自宅にある貴金属などの物品、不動産など様々ですが、確実にお金を支払わせたいのであれば給料を差し押さえるのが一番いい方法です。ただ、給料を差し押さえるためには加害者の勤務先を知っておかなければならず、事故のあとに勤務先が変わった場合は被害者側が調べなければなりません。