交通事故で現行犯逮捕された場合、その後の送検までの流れ

一般的な軽度な追突事故などの交通事故は、在宅の事件として警察によって処理され、事故を起こした本人が検察に出向き違反が確定します。しかし交通事故で被害者が死亡した場合や、飲酒運転など極めて悪質な道路交通法違反での事故の場合は逮捕されるのが殆どです。

逮捕されてしまうとその後どうなってしまうのか、逮捕後の手続きを解説します。

逮捕とは?

逮捕は一般的に警察官だけがするものだと思われるかもしれませんが、検察官、検察事務官も逮捕できます。驚かされるのは現行犯逮捕はその場の状況によって、現行犯に限り誰でも逮捕することができます。交通事故では警察官が逮捕するのが殆どです。

逮捕は警察などの捜査機関が被疑者の逃亡を防ぐため身柄を拘束することで、継続して拘束できる時間は48時間と法律で定められています。

引致がおこなわれる

引致とは交通事故の被疑者を逮捕して身柄を拘束したことを、上司に報告をおこなうことです。現場の状況で被疑者を逮捕した警察官の対応が正当なものであったかを、上司が状況を再確認するものです。

そのような決まりがあるため警察官は、被疑者を逮捕したら直ちに上司への報告が義務となっているのです。逮捕は通常の逮捕であれば裁判所で事前審査があり逮捕状が発行され身柄を拘束できる訳ですが、交通事故の現行犯逮捕は現場の警察官の判断でおこなわれます。

この際被疑者は不服申し立てができないので、上司が急ぎ確認してもしも不当に誤認逮捕してしまった場合、速やかに釈放することで人権侵害のリスクを抑えることを目的とします。もっとも現在の現場では警察無線は勿論携帯電話などもあり、現場の警察官も複数人で逮捕するため既に上司の確認は済まされています。

交通事故で誤認逮捕をすることは極めて少なくなり、引致の過程で釈放されることは殆ど無いと思われます。

弁明の機会が与えられる

引致の段階で弁明をすることができます。あまりあり得ないことですが極端な例を言えば無実の弁明をすることもできます。また何も語りたくなければ黙秘することもできます。この際弁護士を選任することができる話をされます。

交通事故での裁判が始まると弁護士が必要になり、被疑者が私設弁護士を雇う余裕がない場合は国選弁護士が裁判所から選任されます。弁護士はいつでも呼ぶことはできますが、お金の余裕が無いと結果的に国選弁護士を選ぶ他ありません。

補足として当番弁護士制度があり逮捕後に、初回は無料で弁護士に遭うことができます。時間の制限は特別ある訳ではありませんが、30分位までが目安となっています。

実況見分と取調べがおこなわれる

実況見分は実際に被疑者と交通事故現場へ出向き、再度現場検証をすることです。その後に取調べがおこなわれ、実況見分調書が作成されます。

実況見分調書は上記の現場検証でおこなったことを綿密に文書や配置図、写真などの資料をまとめたものです。裁判をする過程で重要な証拠となる資料となります。

送検をされる

交通事故で現行犯逮捕された場合は、捜査終了の段階でもまだ終わってなくても、被疑者の身柄は48時間以内に検察に送検され検察官から取り調べを受けます。48時間を超えても送検しない場合は、警察は被疑者の身柄を釈放することが決められています。

この際に再逮捕されるケースもありますが、そうでない場合は在宅事件として取り扱われます。送検されてきた被疑者は、検察官から再度弁明することを許され、弁護士がまだいないようなら弁護士を選任する権利があることを検察官から言われます。

その後検察官が不起訴処分として被疑者の身柄拘束の必要性が無いと判断したら、被疑者は釈放されて在宅事件扱いにされます。極めて悪質な交通事故の事案などは引き続き被疑者の身柄を拘束して事故の捜査を継続するため、検察官は被疑者の勾留を請求します。

勾留をされる

勾留とは比較的に長い身柄の拘束で、裁判所が検察から勾留の請求を受けて命令を出します。検察から勾留の請求が出されると裁判所は90%の確率で勾留命令を出します。勾留の期間は決められていて10日間が通常で、延長が裁判所から認められると更に10日間勾留されます。

検察官は最大20日間の勾留期間で捜査を終わらせて起訴するか、不起訴にするかを決めなくてはなりません。起訴された場合は裁判まで更に身柄を拘束され勾留されますが、不起訴の場合は身柄を解放され釈放されます。勾留期間は弁護士以外の面会が認められていて、家族とも面会ができます。

交通事故の被疑者はここで国選弁護士を選任することができます。国選弁護士はお金が無い被疑者を前提にしているので、弁護士費用を個人で負担できる被疑者は国選弁護士を選任できません。費用の目安は50万となっていて、この金額を出せない被疑者のみが勾留期間で国選弁護士を選任できるのです。

勾留される場所は

厳密には勾留は拘置所で執行をおこなうことになっていますが、現状では殆どは警察の留置場で勾留されています。東京のように拘置所の施設がない地方では、交通事故の被疑者は警察の留置場に勾留されます。これが代用監獄問題で、被疑者を弁護する弁護士の間では、警察による職権の過剰な行使と問題視していいます。

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勾留中でも事故の捜査は続けている

交通事故の被疑者が勾留中でも、逮捕時と同じように事故の捜査を継続しておこなっています。捜査の内容は逮捕時の捜査とあまり変わりがありませんが、検事が必要に応じて捜査に加わる場合もあります。しかしテレビドラマのように実際に現場に行って、実況見分をするようなことは特に交通事故の事案ではありえないことです。

悪質な交通事故の被疑者は起訴になる

勾留期限が近付くと、検察官は起訴するのか、不起訴とするのかを決めなければなりません。不起訴となれば釈放され道路交通法違反の反則金や、運転免許証の取り消し処分が下されます。起訴となった場合でも釈放される場合があります。

俗に言う略式起訴で、即日罰金を納めれば事件は終了し釈放されます。交通事故では余程の悪質な交通法違反や人身事故でない限り、この略式起訴が用いられる傾向にあります。本格的な起訴となれば自動的に再勾留となり、被疑者から被告人となります。

勾留期間も1ヵ月単位で更新されるようになり、検察官の取り調べは無くなり裁判が終わるまで勾留されます。この際新しく弁護士を選任しなければ、引き続き国選弁護士が被告人の弁護を担当することになります。